生活経済政策連載10月号のお知らせ(2026年10月)

『生活経済政策』2026年10月号連載「福祉国家で暮らしてみて—研究者・親・外国人としてのデンマーク生活」の第7回目テーマは、グリーンランド。8月に訪れた首都ヌークでの現地調査をきっかけに、デンマークからの補助金とグリーンランドの自立の関係、そしてその背後にある歴史的な構造について考えました。
https://www.seikatsuken.or.jp/

要約
– グリーンランドの社会保障は、医療の原則無料や税方式の年金など「北欧型」である一方、税制は付加価値税がなく所得税もフラット課税という「非北欧型」である。この差を埋めているのがデンマークからの補助金で、自治政府歳入の半分以上を占める。
– この補助金は、生活ニーズに応じた財政調整・財源保障ではなく、植民地時代から引き継いだ行政サービスの代替・補償として設計され、2009年以降は実質的に固定されている。デンマークとグリーンランドの関係は、いわば「財政調整なき共同体」である。
– 補助金の多くは外部人材・業者への支払いを通じて域外に流出し、依存からの脱却は容易ではない。産業・雇用・居住の枠組みが植民地期から近代化期の政策のなかで形づくられたことを踏まえ、補助金構造がどのように「作られたか」を問う必要を論じた。

全国82都市の戦前期決算書デジタルアーカイブ公開のお知らせ

全国82都市の戦前期決算書デジタルアーカイブ公開のお知らせ

市政専門図書館(後藤・安田記念東京都市研究所)が所蔵する、全国82都市の決算書1,477冊〔大正11(1922)年~昭和20(1945)年〕のデジタルアーカイブが公開されました。市政専門図書館の公開ページからご覧いただけます。

本アーカイブは、宮﨑雅人先生を研究代表者とし、古市将人先生、安藤道人先生、私(倉地)が研究分担者として参加した科研費プロジェクト「戦前日本における都市財政の研究」(基盤研究B)の成果の一部です。研究プロジェクトの概要はこちらをご覧ください。

生活経済政策連載9月号のお知らせ(2026年9月)

『生活経済政策』2026年9月号連載「福祉国家で暮らしてみて—研究者・親・外国人としてのデンマーク生活」の第6回目テーマは、デンマークのデータセンター問題。ロスキレの自宅で経験した停電をきっかけに、データセンターをめぐる電力逼迫、住民の反発、再エネ投資との関係について考えました。

https://www.seikatsuken.or.jp/

  • デンマークのデータセンターは、再生可能エネルギーの活用や脱炭素投資への貢献が期待される一方、送電網の逼迫、景観への影響、水資源の消費、雇用創出の少なさなどが問題となっている。
  • データセンターの便益は広域的で見えにくいのに対し、環境や暮らしへの負担は立地地域に集中するという非対称性の問題がある。また、立地交渉や水使用量などの情報が十分に公開されず、住民が計画を知るのは決定後になる場合もある。
  • 課税やインセンティブだけでなく、電力・土地・水をどのように配分するのか、国・自治体・企業・住民の合意形成の仕組みを組み直す必要を論じた。

書籍公刊のお知らせ(2026年8月28日)

明石書店のエリアスタディーズシリーズから本がでます。私はグリーンランドの経済・財政について、デンマークとの財政関係との視点から書かせていただきました。ご覧いただければ幸いです。

高橋美野梨・中丸禎子・小澤実編著『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための67章【第2版】』 – 株式会社 明石書店

倉地真太郎「グリーンランドの経済・財政  補助金関係をめぐる「自治」と「独立」の課題」pp.125-129。

https://www.akashi.co.jp/book/b679970.html

論壇時評での紹介について

2026年8月27日『朝日新聞』の論壇時評で、拙稿「デンマークの再分配を支える『合意』 なぜ重い税負担を受け入れるのか」(Voice9月号)が紹介いただきました。ありがとうございます。
(論壇時評)消費減税と痛税感 負担の合意、賃金から問い直す 政治学者・谷口将紀:朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/DA3S16534170.html

続いて『毎日新聞』朝刊の月刊・持論フォーラムにも同じ拙稿が紹介いただきました。こちらもありがとうございます。

https://mainichi.jp/articles/20260827/ddm/004/070/012000c

『生活経済政策』2026年8月号への寄稿について

2026年8月号の『生活経済政策』の特集と連載に寄稿しました。今月の特集のテーマは「平和」です。ご関心がある方はご覧ください。

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倉地真太郎(2026)「消えた祝日—デンマークの対話と実践的理想主義」生活経済政策研究所『生活経済政策』2026年8月号、pp.19-25(No.355)

要約ポイント

  • 国防費を確保するために祝日を廃止した政策から、安全保障の費用を誰が負担するのかを考察。
  • 子ども記者会見などを通じて、政治家が安全保障について市民と直接対話するデンマークの姿を紹介。
  • 福祉・環境・安全保障を両立させながら、理想と現実的な利益を追求する「実践的理想主義」を解説。
  • グリーンランド問題や大国との関係を踏まえ、小国が対話と連帯によって平和を形づくる可能性を論じる。

『生活経済政策』2026年8月「連載 福祉国家で暮らしてみて—研究者・親・外国人としてのデンマーク生活 」第5回目」「死を分かち合う国」

要約ポイント

  • ロスキレの公園のような墓地を入り口に、デンマークでは死や葬送が社会全体で支えられていることを紹介。
  • 教会税が、葬送や墓地だけでなく、教会建築や音楽などの文化を支える仕組みを解説。
  • 中世の教区から地方自治体、地方税、教会税が生まれた歴史をたどり、税と共同体の関係を考える。

『季刊経済理論』掲載論文のJ-stage公開について

経済理論学会『季刊経済理論』61 巻 (2024) 2 号「「アベノミクス」を振り返る」がJ-stageに掲載されました。拙稿「イノベーション,国家,財政デンマークの「イノベーティブ福祉国家」と中間団体」も掲載されています。この度は招待いただきありがとうございました。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/peq/list/-char/ja

https://doi.org/10.20667/peq.61.2_046