『生活経済政策』2026年10月号連載「福祉国家で暮らしてみて—研究者・親・外国人としてのデンマーク生活」の第7回目テーマは、グリーンランド。8月に訪れた首都ヌークでの現地調査をきっかけに、デンマークからの補助金とグリーンランドの自立の関係、そしてその背後にある歴史的な構造について考えました。
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要約
– グリーンランドの社会保障は、医療の原則無料や税方式の年金など「北欧型」である一方、税制は付加価値税がなく所得税もフラット課税という「非北欧型」である。この差を埋めているのがデンマークからの補助金で、自治政府歳入の半分以上を占める。
– この補助金は、生活ニーズに応じた財政調整・財源保障ではなく、植民地時代から引き継いだ行政サービスの代替・補償として設計され、2009年以降は実質的に固定されている。デンマークとグリーンランドの関係は、いわば「財政調整なき共同体」である。
– 補助金の多くは外部人材・業者への支払いを通じて域外に流出し、依存からの脱却は容易ではない。産業・雇用・居住の枠組みが植民地期から近代化期の政策のなかで形づくられたことを踏まえ、補助金構造がどのように「作られたか」を問う必要を論じた。